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プレス技術連載第13回
Q. ISOの複数取得
取引先は4年前にISO9001を取得し、下請け各社の取得を奨励してきました。当社では社長の判断で、今までISO取得を見送ってきましたが、取引先が一年前にISO14001を取得してからは、取得の要請がより具体的になってきました。慎重な姿勢だった社長も、「この辺が年貢の納め時かな」と言い出しました。
そこで、相談したいのは、どのISOから取り組んだら良いのかという事です。いっそのことISO9001と14001を一遍に取得してしまおうかと思いますが、どうでしょうか?


藍田良雄: 
まず、複数のISOマネジメントシステムが、同一組織の中に存在する状態をなんと表現したらいいのか、複数システムの定義を考えて見ます。一般的には、複数のISOが存在するのですから、「複数取得」と言うのがすんなりした呼び方のような気がします。今回のように、二つのマネジメントシステムを一緒に取得するならば、「同時取得」または「複合取得」あるいは「ダブル取得」という言い方になるのでしょうか。
実は、審査登録機関に聞いても、必ずしも同一の答えが返ってこないのです。審査登録機関により、表現は一つではありません。「統合取得」と答える審査機関が最も多かったのですが、「複数取得」や「複合取得」とパンフレットやインターネットのホームページで説明しているところもあります。「同時審査」、「複合審査」という言葉で、そのメリットをPRしている審査登録機関も多数ありました。JABでも明確な定義を決めているわけではありません。各審査機関が独自の言葉と判断で営業活動を行っているのが実情です。例えばISO9001を取得している企業が、QS9000やISO14001を取得したい場合「拡張審査」の申請書を提出する審査機関もあるのです。結論的に、1つの事業所内で複数のマネジメントシステムが並列的に活動されているのがISOシステムの統合である、という言い方が何となく理解しやすいようです。
企業にとって、品質マネジメントシステムを構築したから一安心、と言う訳にはいかずに、環境、労働安全、情報セキュリティ等々次々と新しいシステム導入を要求されるのは、大変な負荷になっています。担当するスタッフや維持するための費用もバカになりません。なによりも、複数のシステムが業務そのものを、より複雑に管理し、規制するのではないか?という不安を抱くのは当然です。企業はISOのために汗を流しているのでは有りません。利益追求型の法人である限り、効率と費用削減を図らねばなりません。できるだけ安い費用で、スタッフの負荷を軽く、サーベイランスも同時期に行いたいものです。
【審査機関の考え】では、審査機関自体は複数取得をどう考えているのでしょうか。先ほど述べたように、JABやIAFも明確に規定されていない様に、組織が複数のシステムを共有する事態をあまり真剣に考慮してこなかったのは事実です。特に受審側の立場に立っての細かい配慮は、殆ど行われてこなかったと言って良いでしょう。
企業にとっては、被害者意識が残るためか、審査し、認証を与え登録するという業務は、企業や組織を睥睨する役人的態度に感じられます。例えば、審査登録機関に、「貴方の顧客は誰ですか」と質問してみると、いささか期待外れの答えが返って来るはずです。"貴方(組織・企業)に業務を依頼し、製品やサービスの提供を受けている、貴方の顧客が我々の顧客です。さらには貴方の製品やサービスで影響を受ける不特定多数の全ての方々です……"
優等生的な答えで、釈然としない気分にもなりますが、審査登録機関の立場からすれば、当然このような用意された答えになるのでしょう。審査機関によっては "顧客"という言葉を否定するかもしれません。しかし、組織・企業にしてみれば、金を払った相手を自分の客だと思わない態度には、何となく不満が残ります。マアこれがISOの仕組みさ、と納得しなければならないのかもしれませんが。
そこで、ときにはこんな質問もしてみたくもなります。「貴方(審査登録機関)の顧客が誰かは解りました。では、我々組織や企業が製品やサービスを提供している相手(審査登録機関の顧客)が審査登録機関の業務にどの程度に満足しているのかを、どのような情報を調査し、評価しているのですか?」
なんとも不思議な事に、納得し『満足』できる回答が帰ってきた審査登録機関は殆どありません。何が言いたかったかというと、審査登録機関が『顧客』とは考えていない組織・企業のためを思って、複数のシステムを構築する場合の便宜を図ろうなどとは、真剣に考えていないだろうという事です。
勿論彼らとて、民間の営利団体である事に変わりはありません。営業的に登録件数を伸ばしたいのは当たり前でしょうし、そのことに熱心な活動をしている審査登録機関もあります。ISOの審査登録の仕組みを言い訳に、頑なな態度(品質は品質、環境は環境で別物)を崩そうとしない所もあります。複数の審査ができる審査員を増やす努力をしていない(できない)審査登録機関も有るのです。
ISOの登録が複数になれば、当然企業の負荷やコストも増えていきます。掛けたコスト分の効果を上げられるシステム構築と同時に、審査登録機関の対応にも注意を払う必要がありそうです。統合取得を機に、審査登録機関の選択を見直すのも良いかもしれません。

柄守川我留男: ISO9001の取得企業が着実に増え、2000年版への移行も完了に近づいている。品質マネジメントにもだいぶ慣れてきて、そのメリットを享受している企業も少なくない。板金・プレスを生業とする中小企業にとって、少なからぬ出費と手間と時間を要したISO9000sではあったが、取引先が次の目標として、取得を要請し始めたのが、ISO14001環境マネジメントシステムである。ISO9001とOHSAS、ISMS等との統合取得も考えられるが、それらの実例はまだまだ少ない。ここでは環境マネジメントシステムISO14001との統合取得の例を考えてみたい。
【統合取得のメリット】ISO9001とISO14001の両システムを統合し、共通部分の管理の簡素化、内部監査やシステム維持にかかわる「人材」「経費」「時間」等を有効利用し、経営資源の有効活用ができるし、共通部分を統合マニュアルにすればマニュアル量を削減できるといわれている。また、同時取得ならばサーベイランス(維持審査)、更新審査も同時審査することで、審査工数/日数の軽減及び審査費用の低減が期待できるであろう。
さらに、環境マネジメントシステムへの取り組みは、製造会社にとっても、際立つ品質によって顧客満足を追求するだけでなく、法規制や事故などによる環境リスク低減だけでなく、環境先進企業として環境への取り組みをアピールすることで、取引先企業の信頼性、社会貢献企業としての印象は格段に良くなるだろう。また、社内の節約意識の向上や地域連携の効果が期待できる。
継続的に収益を挙げ、あらゆる利害関係者に社会的地位、企業意識の高さを周知し、あらためて内部の活性化を図ろうとする活動は、企業の存立意義でもあるだろう。
【統合取得のデメリット】対して、統合システムの構築は、やりようによって経済的で効率的なシステムとなりえるが、やり方を間違うと予想に反して多大な費用を投じながら非効率的なシステムを構築してしまう恐れもある。推進スタッフに掛かる負荷も大きくなるため、担当者の人選には注意が必用だ。優秀なスタッフが揃っている中堅以上の企業なら問題は少ないが、中小零細企業では経営者又は身内が担当するしかないだろう。
また、構築をバラバラに行ってしまうと、組織にとって非効率かつ非有効な活動を生み出すことに直結する恐れがある。特に現場では、"品質もやった上に、さらに環境もやるのか"という、わだかまりを生み出す結末に、はまりかねない。こんなはずでは?という結果を招かない対策が必要だ。統合マネジメントシステムを構築した後の、経営レベルでの有効性の評価を行うべきである。
同時取得の場合は、当然1つずつ複数取得するよりも総合日数は少なくなるが、単独取得に比べ日数、費用が膨らむ結果になる。一度にかかる経費(人件費、コンサル費用、審査費用)が大きいのが難点であろう。
【審査登録機関の問題】もある。先にも述べたように統合審査が可能な審査員の数は、絶対的に不足している。営業的に同時審査を、お薦めはしていても審査員の登録人数や専門分野の制限で受審スケジュールが、企業の希望通りにならない場合が多いのである。また審査コストの低減効果の低さには、まだまだ不満が残る。同時審査の場合、共通項目の審査工数、交通費・宿泊費・移動費の削減が可能で費用削減効果が大きいのは、単独の審査員の場合のみである。
統合審査を依頼する場合は、複数の機関から見積を取り、内容を細かく比較する必要がある。
【コンサルタント】は、『単独システムを構築するよりも、複数のシステムを構築するのは費用がかかります。しかし同時取得したほうが、1個づつ取得するより費用はずっと安くなります。将来、複数取得するなら一度にとってしまったほうが得ですヨ……』と言うだろう。現在いずれかのマネジメントシステムを取得している場合でも統合したほうが良いと言うかもしれない。しかし、文書の整理統合の難しさや、社内でのマネジメントシステムのレベルアップの負荷増大と、システムが浸透するまでの種々の課題を考えると、そう簡単なことではない。また、実績のないコンサルタントを安易に採用し、統合システムを構築するのは大きなリスクを冒すことになるだろう。
取引先からの取得要請の程度、どんな対応要求か?同業他社の実状、率先して取り組んでいる他社の実例の調査、取得先例企業は何を目指しているのか?十分に調査し、実行することである。
いずれにしても、再び取得をすることで"勲章効果"を狙うだけならば、統合取得は会社経営に寄与しないことは間違いない

欧木普都生: 統合システム構築の手順
ISO統合化の目的は、プロセスを改善するとともに企業の社会的責任としての取り組みで、顧客や社会への信用を高めていくことだといわれています。統合化を通じ、より「プロセス指向」が促進され、結果としてパフォーマンスの向上も期待できます。
【構築のスタート】
品質マネジメントシステム(QMS)と環境マネジメントシステム(EMS)のどちらかが既に構築され、他のシステムが統合される場合と、新たに二つのシステムを統合したシステムとして構築する場合の方法は、若干違ってきます。
通常はQMSを先に構築した場合が殆どです。既に作成されたQMSのドキュメント類にEMS関係の文書を追加していきます。
【組織の統合化】
品質、環境のシステムを実行する組織は、それぞれ別々の指示を元に仕事をしているわけではありません。管理責任者を含め、組織及び指示系統の統合化を推進し、全社的な業務プロセスの整理を進めていきます。結果として、フレームワークの纏まりが進み、業務や内部コミュニケーションの円滑化が図られていきます。
【文書の統合化】
統合マネジメントシステムの形態で見た場合、既にあるQMSとは全く別にEMSを構築する場合と、QMSをベースに手順書類などの共通化をする場合が考えられます。
短期間でシステム構築を計画する場合には、無理な統合は混乱を招きますが、取得までの時間が比較的余裕がある場合や、統合マネジメントシステムとして、手順書類の一本化(文書管理、記録管理、内部監査、改善、教育・訓練など)を進めると、統合マネジメントシステムの両立性を高める効果が期待できます。例えば、文書管理では、まず共通文書、品質文書、環境文書に識別することから管理対象が決定しますが、承認、改訂、配付、廃止などの最新版管理、レビューなどの手順は、何を目的にした文書であろうとも同一です。長期的に見れば、並列で構築したマネジメントシステムも、いずれは文書の統合化の検討は避けて通れない課題となるでしょう。
共通項目表
ISO 9001:2000
ISO 14001
5.3品質方針 4.2環境方針
5.5責任、権限及びコミュニケーション 4.4.1体制及び責任
6.2.2力量、認識及び教育訓練 4.4.2訓練、自覚及び能力
5.5.3内部コミュニケーション 4.4.3コミュニケーション
4.2.3文書管理 4.4.5文書管理
4.2.4記録管理 4.5.3記録
7.6監視機器及び測定機器の管理 4.5.1監視及び測定
8.2.3プロセスの監視及び測定
8.2.2内部監査 4.5.4環境マネジメントシステム監査
8.5.2是正処置 4.5.2不適合並びに是正及び予防処置
8.5.3予防処置
5.6マネジメントレビュー 4.6経営層による見直し
【監査の統合化】「エコノミー」なモノを追求することは、「リーズナブル」で、理に適っているモノになる筈です。内部監査は、マネジメントシステムの要求事項に適合することを実証するために、その活動をチェックします。このとき、品質と環境の内部監査を統合して行う統合内部監査を行うことで、内部監査をまとめて行い、それらにかかる費用や負担を軽減することができます。しかし、そういった表面的なコストや効率だけではなく、様々な側面から、業務実態に沿って、問題点を改善していくためのアドバイスを行うことで、業務全般にわたって品質、環境、経済性を網羅した改善が行えることにつながり、統合化の価値があるのです。
ISO川柳
これ(9001)も取り あれ(14001)も取ったのに まだ増える?
(モグラ叩き)
カッコ良い? 無理して統合 愚痴・赤字
(一笑懸命)
何となく 寒くて暗い 認証企業
(環境に優しい事はつらいのね)

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