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ISO9001認証取得奮戦記
SHEET METAL
特集/板金加工業のISO9000シリーズ
当社は1997年ISO9001の認証を取得しました。精密板金業界では初の認証取得でしたが、4年近くの時間を費やしての取得であり、その道のりも決して平坦なものではありませんでした。取得の申請をした時は、わずか18名の零細企業だったのです。

 当社の創業は昭和38年、金属プレス加工業として、先代社長荒川龍太郎が個人会社としてスタートしました。自動車部品や家電品の打ち抜き、絞りのプレス加工がメインでした。その後、40年代の後半、多品種少量の時代を迎え、プレス加工から板金加工が主力となり、鉄道信号機、電気機器部品等の崖体やシャーシ、機構部品などの加工から自動券売機、自動改札機、電子機器の高精度板金製品の開発・設計、加工、組み立て、表面処理までを行っている企業です。

 ISO9001認証取得の経験を生かすべく、1998年4月、ISO取得支援事業部が発足しました。現在、ISO教育やISO9000シリーズの認証取得をめざす企業、10社余りのコンサルタント業務を行っています。 (2002年現在 80社以上)
1.「イソ」とは何だ

 1992年当時、"ISO9000シリーズはヨーロッパ(EC)への非関税障壁対策のため、大手輸出企業が取るもの"くらいの認識が一般的でした。当社も取引先の品質会議での席上、担当者の口から出た「アイエスオー」という言葉と深刻そうな顔付きに合わせて、本で読み齧った知識で"したり顔"で非関税障壁論議をしていたものです。

 もっとも、当時は「アイ・エス・オー」とは言わないで、「イソ」とか、「アイソ」と言う人も多く、大手の品 質担当者といえども、正確な知識を持たなかったようです。

 「アイエスオー・キューセン」ではなく、「アイソ・キュー・マル・マル・マル」。この言い方は非常に言い にくかったし、実際、他人と話すときは上手く口が回らず困ったものでした。「国際標準の品質規格」といった概念はなく、「グローバル・スタンダード」という言葉も、この頃はまだ聞かなかったように思います。ともかく、正体がよく分からず、また、知ろうとも思わなかったし、まだその必要もない、「太平の世」でした。
2.顧客が取り組み姿勢

 1992年後半になると、新聞紙上にISO9000シリーズの文字が時々見られるようになり、"取引先がISO9001を取得するための準備を始めた"という噂がちらほら聞こえてくるようになりました。

 当社のような零細企業がISO9000シリーズの取得を自ら企てる筈はなく、その動機は、取引先がISO9001を取得するための外注指導が最初でした。取引先の取得準備が進むにつれて、教育指導も次第に熱心なものとなり、数回の合同説明会の後、下請け企業を回って経営者、幹部、そして管理者に対する教育が進められました。

 担当された方々の熱のこもったご指導には、今では大変感謝しています。しかし、そのころ指導される側は、誠に不熱心な生徒ばかりでした。納期に追われながらの数時間の勉強時間は誠に辛く、早く終わらないかと思うことが度々であったし、他の取引先からの問い合わせの電話や、工場からの進捗の打ち合せでの度々中断や、退席にむしろ息抜ができると喜ぶ有り様だったのです。
3.取得要求?

 そんな、われわれ外注企業の不熱心なようすに、担当者の口振りが次第に変わっていきました。
 『ISO9000を取得するとき、外注企業もそれなりの対応が要求される』。『もしかすると審査員がお前たち外注企業にも行くかもしれない。その時、何かまずいことがあったら認証が貰えなくなる。そんなことがないよう協力してほしい』。そして、一緒にISO9000を取ったら良いだろう』となり、『ISO9000を取れない下請けは評価が下がるそうだ』。駄目押しは 『ISO9000を取らないと仕事が出なくなる、かもしれないなー』。即ち顧客の強い要請であり、この言葉に、当社も重い腰を上げざるを得ませんでした。

 取引先が取得したとなれば、外注企業に対しても取得要求がされるのは明らかです。『どうせなら全社を挙げて前向きに取り組もう!』。経営者会議での結論でした。スンナリと決定したわけではなく、喧喧囂囂の議論があったのは言うまでもありません。ここからが、辛くて長い道程の始まりだったのです。
4.どう生き抜くか

 当社のISO9001取得までの、詳しい道のりを述べる前に、中小企業を取り巻くこの厳しい状況のなかで、どのようにして、それを打開していくかを考えてみます。

 これまで、企業が発注の際に調達先の選定基準としてきた要件は、@発注する製品の仕様を満足する加工技術と設備 A価格が安い B納期が安定している C優秀な人材を抱え、作業環境が整っている D安定した経営基盤を持っているなどに集約できる。つまり、発注企業と取引先企業との安定的な関係をめざし、縦の関係の中での継続的取り引きができる、ということにウェートが置かれていました。ところが近年、これらの選定項目に加え、自立的な経営と、品質マネジメントシステムを導入しているか、がクローズアップされるようになってきました。

 大手発注元のリストラが進み、取引先にも大きな影響が出ています。金融界に見られる「貸し渋り」から、「貸 し剥がし」と同じような厳しい突き放し構図が見られます。すなわち、今まで言われていたような、IS09000シリーズを取得している企業に、仕事が集中してしまう発注状況がさらに進み、未取得であるということが、その企業を切り捨てるための言い訳にも使われているようです。

 競争関係にある下請企業の品質・納期・コスト(設備、技術)の格差がなくなりつつある現在、いかにして優位に立つかは非常に難しい事です。いきおい、短納期受注や受注獲得のために、原価ギリギリのコストダウン競争にのめり込む事になってしまいます。
5.復活するための最重要テーマ

 大手総合商社・メーカーが必死で進めている不採算部門の統廃合、人員の削減、業務革新が猛烈な勢いで突き進みつつある中で、下請けにも同様に企業の構造改革が迫られています。

 円高により海外移転した事業が予定通り立ち上がらず、結局は今までの取引先に発注が戻り、一安心した経験を持つ下請企業は多い。しかし、既存の取引先に発注を優先したり、地元の企業が今後も受注を確保できるという甘えの講図は考えられません。

 グローバル企業が、世界を相手の取り引きで実践している事が、国内での取り引きでも常識になりつつあり、取引企業に対し、品質、経営内容に応じて格付けし、継続取引のガイドラインを作成しています。

 下請企業が早急に取り組むべきことは、ひたすら加工技術に頼るだけではなく、具体的な企業行動計画と自立するための知恵と情報技術を確立すること、そして世界的に通用する品質・経営管理体制を整えることです。
6.中堅・中小企業の取得意義

 効率的で、広範囲の調達活動の追求に対比して、自主的な品質保証体制の整備を進め、従来の取引関係に縛られない営業方針を打ち出す企業が増えてきています。

 各社に共通しているのは、品質マネジメントシステムを構築し、製品の開発設計、製造、納入までの品質保証を武器に、既存の取引先のみならず、新規顧客の信頼を勝ち取ろうとしていることです。

 「ISO9000シリーズ」を看板にする取得の目的も見られますが、競合他社が取得したから"ウチも"といった動機だけでは、その後の維持管理は苦労のみが増えることになるでしょう。しかし、大手企業とは違った中小企業ならではの取得意義が考えられます。

 1つは貧弱な社内の管理体制がISO導入を機に一変する事です。ISO9000シリーズは単なる品質の管理規格ではなく、受注、加工、外注、納品、教育等、企業活動のほぼすべてを包含するマネージメントシステムなのです。

 当社でも、顧客毎の品質文書は作られていましたが、その場限りの対応で、見直しも改訂もされていませんでした。規定や作業標準もほとんど整備されず、今までのやり方をそのまま受け継ぐ方法で、業務が行われていました。誰が行う業務か明確でなかったり、担当者が休むと他の人では分からない事も多かったのです。規定を作り直し、改めて、業務の流れを見直して、責任の区分、範囲を明確にするだけで停滞が改善し、効率も向上しました。

 新入社員教育は従来、熟練者によるOJTで行ってきましたが、その間の効率ダウンが非常に多く、4月〜6月に掛けて残業が増えたり、不良が発生し、売り上げにも大きく影響していました。ISO9000シリーズに取り組み始めていた1997年4月に、7名の新卒が入社しましたが、2週間の研修は非常にスムーズに行うことができました。

 こうして社員数は30名弱になり、心配した業務の混乱や効率ダウンは回避できました。今年の3月末には9名の新卒が入って来ます。工学部の大卒者を補充し、開発・設計や情報技術の強化を図るのが狙いです。ISO9001による組織の再構築、規定類の整備、文書化、教育・訓練は、中小企業にこそ、非常に有効だと思われるのです。

 2番目は認証取得により、企業としての格付けを上げること。言わば、ブランド企業としての知名度、実力を手に入れることができるのです。海外の格付け企業に、日本中が振り回されたのは記憶に新しいと思いますが、同様の事がわれわれにも降りかかってくるでしょう。

 ISO9000シリーズ取得の有無が取り引きに影響するのは間違いありません。強引な考えと聞こえるかもしれませんが、「21世紀に生き残る条件」であるとさえ言われています。
7.世界標準をめざして

 1998年10月の日経新聞によると、国内のISO9000シリーズの認証取得件数は7,000社を超えました。

 月毎の取得件数は急激に増加をたどり、本年度早期に10、000社の大台を突破するのは間違いありません。大手企業の取得はとりあえず一段落ですが、中堅・中小企業の認証取得は、これから本番を迎えるためです。

 1999年はまさに"ISO9000ウォーズ"の様相になると思われ、バブル後の構造転換が進まない日本企業に、グローバル・スタンダード(国際標準)という第二の黒船が来襲したとも言えるでしょう。

 世界にその品質を誇った日本の生産方式は、メタルカラーと呼ばれる現場作業者に大きく依存しています。対するISO9000シリーズは、トップダウン的なシステム管理方法と文書化(マニュアル化)の維持・管理が要求されます。どちらが優れていると言うのではなく、両方併せ持った管理方法を手にした企業が有利なのは言うまでもないでしょう。

 当社の認証取得後、新聞や雑誌に何度も取り上げられたため、取得をめざす企業からの問い合わせや、企業訪問の希望が多くありました。工場内の表示、製品の識別、作業標準はもちろん品質文書もすべてオープンにして見ていただいています。取得準備を進める企業の担当者からは、「非常に参考になった」という感謝の言葉がありましたが、見られる側にとっても良い結果になっているのです。ISOと同じ"外圧"が、作業環境やシステムの維持に良い意味の刺激になり、社員の意識改革が進んでいます。

 取引先の評価は、以前と比べ管理の信頼性が数段上がりました。逆に"取得企業だから"と不良に対しては、以前にも増して厳しい対応が求められています。
8.認証取得の実際

 先にも述べたように、ISOに多少とも関わりを持ったのは1993年と比較的早い時期でしたが、それゆえの悩みと不安も大きく、また中小企業であるための失敗も数え切れない程経験しました。途中で種々の理由による中断があり、再スタートを経て、結果的に4年近い時間を費やしてしまいました。

 その最初の失敗が、社員教育と取得準備の進め方でした。推進担当者がセミナーに何度か参加して勉強を開始したのですが、規格の説明が中心で、取得事例は大手企業ばかりでした。大企業の導入方法を当然の事として、自社の零細組織に持ち込み、それ以後、報われぬ3年間を過ごしてしまったのです。
9.取得期間

 取得の期間は、大手企業では1年半から1年、長くて2年といわれていますが、中堅・中小企業の場合は予算や人員の制約があり、あまりのんびりした事は許されないでしょう。先に述べたような取得の意義・目的もあり、一刻も早くライバルに差を付けて、認証取得を実現したいところです。できれば10ヶ月以下での取得をめざすべきです。明確な取得時期を決定し、内外に不退転の決意を公表してしまうのも1つの方法です。

 あまりに長い準備期間は社員の士気の低下も招く事になります。当社は4年近くかかりましたが、これは異常な事であり、全く恥ずかしい話です。実質は10ヶ月間での取得でしたが、中堅・中小企業の場合は8ヶ月くらいが理想的な期間と思います。

 当社が指導コンサルした企業では、昨年7月3日にキックオフ、同12月3日に本審査となり、非常に短期間の認証取得事例となりました。

 「ISO9000シリーズを取得した企業で倒産したところはない」といわれます。この真意は不明ですが、本来はISO9000シリーズの導入によるメリットを享受している企業は多いのです。上手く行っていない企業は、運用方法の解釈を間違っているか、または自社に合わないシステムを構築してしまったか、のどちらかです。

 一番多い失敗が文書化で発生し、企業が最も悩み苦労するのもここにあります。自社の業務、規模に合わない大それた品質システムを作り上げ、維持管理に本業が圧迫されている例もあり、中堅・中小企業の場合だけではなく、大企業でも、あまりに立派すぎるシステムゆえに、自分の首を絞めているのに気づき、取得後もセミナーに通う企業があるのです。

 中小企業の文書作成は"大企業の真似はしない""大企業向けの参考書は使わない""見栄を張った文書は作らない""親会社の指導は正しいとは限らない""コンサルタント選びは、中小企業の指導経験を重視する""文書はできる限りシンプルに、かつ自社の業務に忠実に"をしっかり守る事が重要です。大企業のマニュアル集や雛形文書を使って、自社の名前だけを嵌め込むような文書作成は、絶対にしてはならず、自殺行為です。

 請われてF社を訪ねた時、作られていた文書がこのケースです。大手企業の品質保証部を経験し、その後独立したコンサルタントが、その下請企業のF社を指導して作った文書の雛形は、ベストセラーの有名な物でした。文書はほぼ完成し、40数名規模の企業に40ページの品質マニュアルと29の管理規定が作られ、手順書の作成が進んでいました。担当した工場長は、管理のあまりの複雑さに音を上げていました。結局、F社は品質文書の破棄、再スタートとなり、その後の当社の指導によって順調に進み、前述したように5ヶ月で本審査を迎え、認証取得できたのです。

 文書体系の最上位(憲法相当)にありながら、実は「品質マニュアル」という文書は、大企業も中小企業の場 合もその中身はたいした違いがないのです。2番目の規定、標準類の量は、企業の規模や製品、工程で決まってきます。

 当社の文書体系は、「管理規定を合む品質マニュアル」と「技術文書」、「記録」の3階層の構成です。管理規定は作り始めるときりがなくなる厄介な文書ですが、ISO要求項目に合わせて、業務の管理規定を作成することにより"品質マニュアルと一体化"ができ、しかも、全項で52ページのシンプル文書となりました。今後は、この方法が中小企業の文書体系の主流になります。是非この方法を参考にしてください。

 また、これまでの支援経験から中小企業のISO9000シリーズの認証取得には、資金、人材、時間の制約が非常に大きい事を実感しました。「文書が作れない、予算がない、有能な人材がいない、係わっている時間がない」このような状態の中でも、「儲かるISO9001」を取得してもらうための支援活動に努力しています。

 現在開発中の「ISO文書自動作成・維持管理ソフト」と「ネットワークによる遠隔コンサルシステム」は、これからISO9001を取得しようとする中小企業に、大きな効果を提供できると確信しています。
10.まとめ

 1999年はISO9000シリーズの取得ラッシュになりそうです。コア・コンピタンスが構築できる企業でないと「勝ち組」に入れないとも言われていますが、企業の構造改革を「ISO9000シリーズというコンピテンシー」に賭ける企業の意気込みは大変なものです。

 「経営環境が厳しくなるほど企業間の格差が広がる」この不況をチャンスと捉え、ライバルに差をつけたいと考える企業でなければ、21世紀に存続できないかも知れません。

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