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認証取得の進め方と実際
日経メカニカル
Part.2 認証取得の進め方と実際
 ISO9000sの取得を進める時は、まずは従来行われてきたQC(Quality Control)とQM(Quality Management)の相違を理解する。QC/QMの訳は共に品質管理であるが、QCは品質管理技法とも訳される。

 日本は今までQC主体で、品質(製品・設備・人)の改善活動にのみ関心を傾けてきた。現場の活動がメインとなり「全員で品質を向上させる」方式の品質管理であった。対して、QMは管理システムであり、管理者(社長、部長等)から現場担当者はそれぞれ何をするか、役割・権限・手順・トラブルの対処などを組織的に行うための仕組みを構築する事をいう。
1.ISO教育

 QC的現場改善発想で、全社員を集め、品質システム要求事項の説明を行い、規格をそのまま理解させることは本末転倒である。業種不偏で作られたISO9000sの規格条項が数時間の説明会で理解できるものではない。残るのは消化不良のイライラか拒否反応である。セミナーなどの勉強会に参加する場合も参加費用や日数で判断せず、内容とレベルが自分に合っているかを見極める事だ。遠隔の開催地だからとまとめて数日間の教育を受け、会社に戻り上司や同僚に説明しようとしても、うまくいかない事が多いものだ。ISO9000sの本質を充分に理解してから、次のステップ(規格解釈)に進む事だ。

 とくに'全社員'への教育は急がない。極論を言うと当分の内はやらないのが良い。その時期と方法・内容に注意する。ISO9000sの要求事項は初心者にとってはお経や呪文に近く、理解はまったく進まない。

 ISO9000sの概要や有効性、必要性を理解してもらい、詳しい内容はマニュアルや規定ができ上がってから、それを教材として、要求事項を対比させて説明する。業務の流れにしたがって、組織の説明・役割の分担・責任者の明確化・記録の大切さ・文書化の有用性・システム化の大切さを理解してもらう。このようにして初めて社員は日頃行っている業務の流れを再確認すると共にISO9000sのマネジメントシステムを理解できる。
2.取得準備の進め方

 "ISO9000sの正しい認証取得の進め方"はその企業ごとに違ってくるはずである。どれが一番良いという方法は多分ないであろう。ここでは一般的な進め方と、ARKを含めた幾つかの失敗事例を織り交ぜて、紹介したい。

 ARKが、ISOに多少とも関わりを待ったのは93年と比較的早い時期であったが、それゆえ悩みと不安も大きく、また中小企業であるための失敗も数え切れない程経験した。途中で種々の理由による中断があり、結果的に4年近い月日を費やした。

 最初の失敗が社員教育と取得準備の進め方であった。推進担当者がセミナーに何度か参加して勉強を開始した。規格の説明が中心で取得事例は大手企業ばかりであった。大企業の文書作成を当然の事として自社の零細組織に持ち込み、それ以後間違った方向へ進んでしまった。

 一般的には、トップと管理責任者がISO9000sの有効性を充分理解した後、キックオフの席上で取得の目的、何の為に取り組むのかを明確に説明し、実現を目指す品質目標と取得時期を明示する。スケジュールに従った活動への全員参加と各部門の協力を要請する。そして、取得した場合のメリットをできるだけ明確に説明する。ここでは対外的な事ばかりではなく、社内全員に及ぶ利点を繰返し力説する。

 「業務の流れと手順が明確になり/責任の所在と範囲がはっきり/指示命令系統の整理/作業の標準化による効率UP/不良低減/信頼性向上で受注増/新規受注で売り上げUP/収益体質改善で給与UP」等である。  可能ならば認証取得のあかつきには多少の報奨を約束したい。要するに、全員の関心をプラスの方向に持っていく。間違っても不況対策の管理強化と勘違いをさせないことが重要だ。

 参考書を見ると、ISO9000sのメリットとして次のような事を挙げている。 @契約の上で有利になるA社内の品質保証体制の確立B顧客からの監査が減るC企業間の差別化の4点である。確かに@とCについては大きなメリットになるだろう。しかしAは管理システムが未整備の中小企業にとってはメリットではなく目的であろう。Bについては意見が別れるかと思うが、営業的には顧客の来社を減らすメリットは少ない。以上は品質管理責任者の目から見たメリットである。こうした本の著者は品質保証部経験者が多いため、やむを得ない面もあるが、経営者が望む本当の取得メリットは先ず利益UPであろう。結果的に儲からず費用ばかり掛かるなら、ISO9000sに取り組む必要など全くないのだ。

 社員にとっても同様に自分に直接メリットのない事には関心が薄く、取り組みも中途半端になってしまう。社員にとっても充分メリットがあることを最初に理解させ、取得の熱意を盛り上げることが大切だ。



3.事務局

 経営者の代行として、ISO9000s取得の中心的な役割を務めるのは、経営者が任命する管理費任者である。取得準備を実質的に推し進めるのは、実際に推進業務を行う推進担当者(事務局)と取得推進チームのスタッフである。管理費任者の人選は重要だ。中小企業では人数の制限もあり、管理費任者が推進担当者となる例が多い。品質保証部の担当者が努める事も多いが、客観的-な判断ができなくなると言う理由で「品質保証活動に直接関わっていない人物がなるのが望ましい」とする説もある。しかし、審査員やコンサルタントの前身が大手企業の品質保証部長経験者というのが一番多いのも事実である。ここで、前述したQCとQMをはっきり区別した認識を、この人たちが持っているかが重要なことを言っておきたい。

 人選上で気を付ける事は@会社全体の業務に精通A部門間の調整役として経営者に次ぐ力を持つ等である。中小企業では人選の範囲も限定されるが、できればその人物の性格も考えたい。B半年以上の長期プロジェクトをまとめられる根気強さC健康な身体D細心の注意力と大らかさE対外的折衝力を備えていれば申し分ない。審査では企業側の代表として、対応時の押出しの良さと審査員と論争できるISO9000sの知識が必要だ。 審査員は担当者の人物によりシステムの完成度を推測するし、受答えから容易にその人物の知識の程度を知ってしまうだろう。審査員も人間である。公平な審査にもある程度の予断が入ることもある。オープニングミーティングの開始早々、悪い印象と不安を与えてはならない。堂々とした態度で臨み たい。

 Z企業の推進担当者の例−多少気の 弱い性格が気になったが、真面目な性格で品質保証担当者としての実績から社長に指名された。彼の上司は'社長の息子'で業務全般に明るく、性格も前向きで、本当はこちらが適任であった。しかし、社長は不在がちで代わって社業を取り仕切る立場にもあり兼任できなかった。几帳面な彼は文書の作成もほとんど一人で行い、万全の準備体制で予備審査の日を迎えた。審査が進み、ある部署で記録の不備が発見され、慌てて取り繕おうとした彼の説明に自信はなかった。不安を感じた審査員がサンプリングを強化した結果、別の不適合も次々と指摘された。追い込まれたと感じた彼の頭の中は真っ白になり、それ以後の審査の内容はほとんど覚えていなかったという。
信頼して任せた社長の不信感と、全ての責任を自分に押し付けると感じた彼の間の亀裂が深まり、結局本審査を前に彼は会社を去った。取得の時期は不明のまま、双方に悲劇であった。
認証取得までのステップ例
現状の評価分析
推進組識の設置と推進計画の立案
推進委員会の開設
キックオフ
仕事のフロー見直し、各種帳票の確認
審査登録機関の決定
申請書類の作成
品質マニュアル及び文書の作成
内部品質監査員の教育
全組織での実行評価
内部品質監査の実施と是正処置
予備審査 受審
審査の問題点の是正
本審査 受審
審査合格
品質システムの維持・管理
サーベイランス
4.取得期間

 取得期間は大手企業で1年〜1年半、長くて2年といわれているが、中堅・中小企業の場合は予算や人員の制約がありのんびりした事は許されない。先に述べたような取得の意義・目的から、一刻も早くライバルに差を付けて認証取得を実現したい。10ヶ月以下での取得を日指すべきである。業界や地域で初の認証はニュース性も高い。明確な取得時期を決定し、内外に不退転の決意を公表してしまうのも一つの方法だ。

 自力で認証取得に取り組む場合でも、人件費は確実に増えるし、コンサルタントによる指導の場合は目に見えて費用が膨らんでしまう。指導期間を予定より延ばす傾向があるコンサルタントは要注意だ。相手のペースに合せるのではなく、事務局が率先して行動し、準備を進めたい。あまりに長い準備期間は社員の士気の低下も招く。

 ARKは実質的には約10ヶ月間で取得したが、中堅・中小企業の場合、8ヶ月くらいが理想的な数字と思う。
5.ISO9002⇒ISO9001

 2000年改訂でISO9001に統合され、9002を取得した企業は拡大申請が必要となり、費用も必要だ。今後取得を目指す企業は、9001を選ぶべきである。ARKは顧客図面による受注牛産の下請企業であるが、Process Design(工程設計)でISO9001を取得した。この考え方はまだ一般的ではないが、ウチは下請だから9002と諦めず、是非検討をお勧めする。
6.文書化

 「ISO9000sを取得した企業で倒産はすくない」という。この真意は不明だがISO9000sの導入によるメリットを享受している企業は多い。うまくいっていない企業は運用方法の解釈を間違っているか、または自社に合わないシステムを構築してしまったかのどちらかである。

 一番多い失敗が文書化で発生し、企業が最も悩み苦労するのもここである。

 自社の業務、規模に合わない大がかりな品質システムを作り上げ、維持管理に本業が圧迫されている例もある。中堅・中小企業の場合だけでなく、大企業でもあまりに立派すぎるシステムが自分の首を絞めているのに気づき、取得後もセミナーに通う企業は多い。

 中小企業の場合の注意点は"大企業の真似はしない""大企業向けの参考書は使わない""文書は見栄を張らない""親会社の指導は正しいとは限らない""コンサル選びは中小の指導経験重視""文書はシンプルかつ自社の業務に忠実"をしっかり守って欲しい。大企業のマニュアル集や雛形文書を使って、自社の名前だけをはめ込むような文書作成は絶対にしてはならない。
7.システムの運用

 品質管理文書の作成が終了し、技術文書の作成がある程度進んだ時点でシステムのテスト運用を始める。

 実際の業務と比較して、矛盾や不備がないか?現場の意見も聞き、何度でも修正する覚悟で話し合う。ここで手を抜くと後で取り返しが大変になるため、全員の納得が得られるよう注意する。運用実績期間は本審査のスケジュールにも影響するので早めに開始する。
8.内部品質監査

 内部監査を重要視して、外部セミナーなどの教育を早めに指導するコンサルや参考書を見かけるが、ISO教育同様自社の品質文書が完成してから、それを教材に勉強会を行うのが良い。

 講師を招き社内で行えば何人でも参加できるし理解も早い。個別の社外セミナー参加に比べて数分の一の費用で可能だ。
9.審査登録機関

 審査登録機関はISO9000sの取得目的から考えて選ぶ。業界での取引がメインならその業界に通りの良い登録機関を選択、今後取引を拡大していきたいなら知名度で選ぶべきだろう。また費用は以前は差がなかったが、審査登録機関も営利企業であるため競争が激しくなり、値段の差が出てきた。複数から見積りを取り、内容の比較をしてみるべきだ。ただ、見積り金額と審査員が不満で度々審査登録機関を変更し、スケジュールが半年以上延期した例もあるので注意が必要だ。
10.予備審査・本審査

 審査時の管理責任者の注意点は既に述べた通りだが、その他の注意点をいくつか挙げる。ARKが犯した失敗に、審査前日の社員の出社拒否騒動があった。当時教育に使ったISOのビデオの中で、審査員がパートのおばさんにまで品質目標を訪ねるくだりが出てきた。「審査員の質問に素早く応えられないとイエローカードが切られる」と3人の年配社員が予備審査の前日に「明日は迷惑をかけては大変だから休む」と言ってきた。

 1時間以上説得、説明して翌日は事無きを得たが、全く冷や汗ものだった。管理費任者の項でも述べたが、審査員にはフェアーな審査をしてもらえるよう、受審側も毅然とした態度で臨みたい。審査員の罷免権も昔ほど煩わしい事はない。機関側も営業的配慮で企業からのクレームには前向きに対応しているようだ。
11.まとめ

 99年はISO9000sの取得ラッシュになりそうである。認証取得企業でないと21世紀に存続できないとも言われている。取得に賭ける企業の意気込みは大変な物だが、今まで経験のないマネジメントシステムを前にして国際標準(グローバル・スタンダード)と言う言葉だけが先行している。ISO9000sばかりでなく、これをベースに発展させた自動車業界のQS9000s、環境管理のISO14000sの他、食品業界の危害分析重要管理点方式HACCPなどの世界標準が次々と日本に押し寄せている。

 何から取り組むかは、業種、規模により違ってくるだろうが、中小製造業はISO9000sから導入することを薦める。やはり、品質をいかに維持・管理するかが製造業の大命題であろう。

 ISO14000sが導入しやすいという話も聞くが、その取得効果、取得/維持・管理費用の何れを考えても納得できる意見ではない。HACCPは食品に対する危害を設備、建物自体で、言わぱ"力"で捻じ伏せようとするアメリカ的発想で、投資額は桁違いに多くなる。QS9000sは自動車関連の企業にとって注日すべき規格であるが、内容はISO9000sより厳しく、今後、自動車関連以外の業種の仕事を模索する企業にとっては、ISO9000sの方が範囲は広く適当だ。まず、ISO9000sでマネジメントシステムを理解し、14000なりQS9000に進むのが良いだろう。

 製品の品質で勝利を収めた日本の製造業が危機を迎えている。危機の中で足元を見てしまいがちだが、それゆえ遠い将来を展望する必要がある。

 ISO9000sの導入を契機にマネジメントシステムの整備を進めれば更なる発展、成長は間違いない。今は黒船を迎えた後の明治維新と同様に、世界標準の導入に「愚直」なまでに取り組む時期と考える。この不景気を打破し、21世紀に再び日本が輝きを取り戻し、今後は自ら「世界標準」を発信出来ることを願いたい。

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